ミミサト主婦FP
保険2026年4月27日

知らないと損!公的保険が意外とカバーしてくれること【FP主婦が解説】

民間保険に入る前に知っておくべき「公的保険」の話。高額療養費制度・傷病手当金・遺族年金など、FP主婦がわかりやすく解説します。

「公的保険」を知らずに民間保険に入ると損をする

保険の相談でよくあるのが、「民間保険をどれにしようか」と考える前に、公的保険で何がカバーされるかを把握していないケースです。

実は日本の公的保険(社会保険)は、病気・ケガ・死亡・障害など、さまざまなリスクをカバーしてくれます。これを知らずに民間保険を選ぶと、「ダブって払いすぎ」や「必要なところが抜けている」という状況になりがちです。

もうひとつ大切なことがあります。公的保険の多くは「申請しなければもらえない」仕組みになっています。制度を知っておくだけで、いざというときに確実に受け取れるかどうかが変わります。今回は2026年4月時点の制度をもとに、特に家計への影響が大きい4つの仕組みをくわしく解説します。

まず全体像を把握しよう:公的保険でカバーされること

🏥 医療保険(健康保険・国民健康保険)
  • 医療費の自己負担を3割に抑える
  • 高額療養費制度(月の上限あり)
  • 傷病手当金(会社員のみ)
  • 出産育児一時金
👴 年金保険(国民年金・厚生年金)
  • 老齢年金(65歳から)
  • 遺族年金(家族が亡くなったとき)
  • 障害年金(障害が残ったとき)
💼 雇用保険(会社員・一部パート)
  • 失業給付(失業したとき)
  • 育児休業給付金
  • 介護休業給付金
🤝 介護保険(40歳以上全員)
  • 要介護認定を受けると介護サービスが1〜3割負担で使える
  • 特別養護老人ホーム・訪問介護など

日本では生まれた瞬間から何らかの公的保険に加入しており、保険料を払っているかぎりは保障を受ける権利があります。ところが、実際にどの制度がどんなときに使えるのか、正確に把握している人は多くありません。この記事では、特に家計への影響が大きい ①高額療養費制度 ②傷病手当金 ③遺族年金 ④障害年金 を、2026年4月時点の情報をもとに詳しく解説します。

① 高額療養費制度:医療費に「上限」がある

病気や手術で医療費が高額になっても、1か月に自己負担する金額には上限があります。これが「高額療養費制度」です。

上限額は収入(所得区分)によって5段階に分かれています。収入が少ないほど上限が低く設定されており、住民税非課税世帯であれば月35,400円が上限です。

70歳未満の自己負担限度額(2026年4月時点)

区分 年収の目安 月の自己負担上限 多数回該当※
ア(高所得) 約1,160万円以上 252,600円+
(医療費-842,000円)×1%
140,100円
約770万〜1,160万円 167,400円+
(医療費-558,000円)×1%
93,000円
ウ(標準) 約370万〜770万円 80,100円+
(医療費-267,000円)×1%
44,400円
エ(低所得) 年収約370万円未満 57,600円 44,400円
オ(非課税) 住民税非課税世帯 35,400円 24,600円

※多数回該当:直近12か月に3回以上、高額療養費に該当した場合、4回目からさらに上限が下がります。

出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(2026年4月時点)

💡 計算例(ウ区分・医療費100万円の場合)
80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=約87,430円
100万円の医療費でも、実質9万円以下の負担で済みます。

自分はどの区分か調べるには

所得区分の確認方法は、加入している健康保険の種類によって異なります。

  • 会社員(協会けんぽ・組合健保):健康保険証に記載の「標準報酬月額」が目安です。わからない場合は会社の総務担当か、健保組合に問い合わせてみてください
  • 自営業・フリーランス(国民健康保険):前年の住民税の「課税所得」で判定します。市区町村の国保窓口に問い合わせると教えてもらえます
  • 住民税が非課税の方:オ区分が適用され、月の上限は35,400円です。低所得の方ほど手厚い仕組みになっています

世帯合算という仕組みも活用できる

同じ健康保険に加入している家族の医療費は「合算」できます。たとえば、同じ月に夫が50,000円、妻が40,000円の自己負担が発生した場合、合算して90,000円として計算し、上限額を超えた分が戻ってきます。ただし70歳未満は1人あたり21,000円以上の自己負担分のみ合算の対象になるため、少額の場合は合算できないことがあります。

おさえておきたい3つのポイント

  • 同じ月・同じ病院でも「入院」と「外来」は別計算になります。まとめて計算されないことがあるので注意
  • 差額ベッド代・食事代は対象外(高額療養費制度ではカバーされない。現金で用意しておくと安心)
  • 限度額適用認定証を事前に取得しておくと、窓口での支払い自体が上限額までになるため便利です(後日申請して戻ってくる形ではなくなる)
⚠ 国民健康保険(自営業・フリーランスの方)も対象
高額療養費制度は、協会けんぽ・組合健保(会社員)だけでなく、国民健康保険加入者も使えます。ただし所得区分の判定方法が少し異なります。市区町村の国保窓口で確認できます。

限度額適用認定証の取得方法

入院が決まったときなど、事前に「限度額適用認定証」を取得しておくと、病院の窓口での支払いが上限額までになります。後日申請して戻ってくる手間が省けるため、入院前に取得しておくことをおすすめします。

加入している健康保険 申請先 備考
協会けんぽ 全国健康保険協会 各支部 オンライン申請(マイページ)可
組合健保 加入している健保組合 組合によって手続き方法が異なる
国民健康保険 お住まいの市区町村の窓口 窓口またはオンライン申請(自治体による)

マイナンバーカードを健康保険証として登録している方は、病院の窓口でマイナカードを提示するだけで自動的に限度額が適用されるため、認定証の取得が不要な場合があります。

② 傷病手当金:会社員が病気で休んだときの収入保障

会社の健康保険(協会けんぽや組合健保)に加入している方は、病気やケガで仕事を休んだとき、給料のおよそ2/3が最長1年6か月間支給されます。

項目 内容
支給額の目安 直近12か月の平均標準報酬日額の約2/3
支給期間 最長1年6か月
待期期間 連続3日間休んだ後、4日目から支給開始
対象者 会社の健康保険(協会けんぽ・組合健保)加入者
対象外 国民健康保険加入者(自営業・フリーランス)は原則なし
💡 計算例(月収30万円・会社員の場合)
300,000円 ÷ 30日 × 2/3 ≒ 約6,700円/日
1か月(30日)休んだ場合の受取額の目安:約20万円
ただし最初の3日間(待期期間)は支給なし。有給を使った日も対象外のため、実際の受取額はケースによって変わります。

傷病手当金の申請の流れ

  • 会社(総務や人事担当)に「傷病手当金を申請したい」と伝える
  • 申請書(健保組合から取り寄せ、または会社経由で入手)に記入する
  • 主治医に「労務不能であった期間」を証明してもらう欄を記入してもらう
  • 会社の証明(休んでいた事実の確認)を受けて、健保組合へ提出

申請は1か月ごとにおこなうのが一般的です。入院中や療養中でも会社・病院と連絡を取りながら進められます。

⚠ 自営業・フリーランスの方へ
国民健康保険には傷病手当金がありません(一部市区町村の独自給付を除く)。収入が止まるリスクを自分で備える必要があるため、就業不能保険の検討をおすすめします。

③ 遺族年金:配偶者が亡くなったときの備え

配偶者が亡くなったとき、要件を満たせば「遺族年金」が受け取れます。2種類あり、会社員の場合は上乗せがあります。

遺族基礎年金 遺族厚生年金
対象者 18歳未満の子がいる配偶者または子 配偶者・子・父母など(子がいなくてもOK)
加入要件 亡くなった方が国民年金加入中など 亡くなった方が厚生年金加入中など
年金額の目安 子1人の場合:約100万円/年 亡くなった方の老齢厚生年金の3/4
ポイント 会社員は両方もらえる(合算)。自営業は遺族基礎年金のみ

遺族基礎年金の受取額の目安(2025年度)

遺族基礎年金の基本額は年約816,000円です。子どもの人数によって加算されます。

子どもの状況 年間の受取額の目安 月額換算
18歳未満の子が1人 816,000円+234,800円=約105万円 約87,500円/月
18歳未満の子が2人 816,000円+234,800円×2=約129万円 約107,000円/月
子なし(または子が18歳以上) 遺族基礎年金は受け取れない

※金額は毎年度改定されます。2026年度の金額は日本年金機構のWebサイトでご確認ください。

会社員の場合はこれに遺族厚生年金が上乗せされます。遺族厚生年金の額は亡くなった方の収入・加入期間によって異なるため、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で目安を確認できます。「夫が亡くなったら生活できない」と感じている方も、遺族年金の試算をしてみると意外と備えになっているケースがあります。まず公的保障の金額を把握したうえで、不足分を民間の生命保険で補うという考え方が基本です。

④ 障害年金:病気やケガで障害が残ったとき

病気やケガで障害が残ったとき、年金が受け取れる「障害年金」という制度があります。

障害基礎年金 障害厚生年金
対象 1級・2級に認定された方 1〜3級に認定された方(厚生年金加入中に初診日がある場合)
年金額の目安(2級) 約816,000円/年(2026年度) 障害基礎年金に上乗せ
子の加算 18歳未満の子がいると加算あり
💡 意外と知られていない対象疾患
・がん(治療中の就労困難な状態を含む)
・うつ病・統合失調症などの精神疾患
・糖尿病の合併症・腎不全(人工透析など)
・心疾患・呼吸器疾患
「よほど重い障害でないともらえない」わけではありません。

障害年金を受け取るには、初診日(はじめて病院を受診した日)に年金に加入していたこと、一定の保険料納付要件を満たしていることなどが条件になります。書類の準備が多く手続きが複雑なため、不安な場合は年金事務所の窓口相談や、社会保険労務士への相談も選択肢のひとつです。

申請で注意したいこと

公的保険の給付は、多くの場合「自分で申請しないと受け取れません」。制度を知っていても、申請しなければゼロです。主な申請先をまとめました。

制度 申請先 申請のタイミング
高額療養費制度 加入している健康保険(または市区町村) 診療翌月1日から2年以内
傷病手当金 加入している健康保険(会社経由が多い) 休業開始から2年以内
遺族年金 年金事務所・街角の年金相談センター 亡くなった後(期限なしだが早めに)
障害年金 年金事務所・市区町村の国民年金窓口 初診日から1年6か月後以降が目安

「申請期限」があるものも多いため、いざというときに慌てないよう、この記事をブックマークしておくことをおすすめします。特に傷病手当金と高額療養費制度は、申請しなければ自動的に受け取れるわけではありません。いざというときに「知っていたけど申請しなかった」という後悔をしないよう、制度の存在を頭に入れておきましょう。

まとめ:公的保険を知ったうえで、民間保険を選ぼう

ここまで読んで「意外とカバーされているんだ」と感じた方も多いのではないでしょうか。

民間の医療保険や生命保険を選ぶときは、まず公的保険でカバーされない部分を把握し、そこを補う形で民間保険を選ぶのが基本です。

💡 民間保険が活きる場面の例
・自営業・フリーランスで傷病手当金がない → 就業不能保険で備える
・差額ベッド代など高額療養費の対象外費用 → 現金(貯蓄)で用意しておく
・遺族年金だけでは生活費が不足する → 定期保険(掛け捨て)で補う
・自営業で遺族厚生年金がない → 定期保険の保障額を多めに検討する

民間保険を見直すときの手順をまとめると、まず①公的保険で何がカバーされるか把握する、次に②公的保険だけでは不足する部分を洗い出す、そして③その不足分だけを民間保険で補う、という3ステップが基本です。この順番を守るだけで、保険料の払いすぎを防ぐことができます。

たとえば会社員の方であれば傷病手当金があるため、就業不能保険の必要性は下がります。一方で自営業の方は傷病手当金がないため、就業不能保険は優先度が高くなります。同じ「保険が必要かどうか」という問いでも、働き方や家族構成によって答えが変わります。

「自分の場合はどの部分が足りていないのか」を把握するのが難しい、という方はFP相談を活用してみてください。ミミサトでも個別のご相談をお受けしています。

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ミミサト|主婦FP

子どもへの金融教育がきっかけでFP資格を取得。子育て世代のママ向けに、家計・保険・教育費をわかりやすく発信中。

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